TAKIGAHARA FESTIVAL AFTER STORIES #2 ~ TAKIGAHARA JUICE STAND ~

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先日のTAKIGAHARA FESTIVALでは、たくさんの方にTAKIGAHARA JUICE STANDをご利用頂きました。今回の投稿では、その背景を少し紹介したいと思います。

夏の暑い日差しがさんさんと降り注ぐ頃、滝ヶ原での生活にすこし慣れ、近隣のおじいちゃんおばあちゃんともすっかりと仲が良くなり、みなさんからのいただきものや、TAKIGAHARA FARMで採れた野菜で過ごす生活になり、気がつけば、スーパーで野菜を買うことが少なくなりました。

いつの間にか、自分たちが普段口にするジュースを、いただきものや滝ヶ原の自然の産物でつくることが、日常生活のひとつとなっていました。TAKIGAHARA FESTIVALでは、そういった滝ヶ原の産物でつくられたおいしい飲み物を皆さんにも味わってもらおうと、ジューススタンドを運営することにしました。

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ジューススタンドで使うシロップは、収穫から自分たちで行いました。

紫蘇ジュースをつくりたいと近隣の方に相談すると、「うちの畑に採りにおいで」と気さくに言ってくださいます。真夏の太陽が照るなか、汗を垂らしながら、大量の紫蘇を収穫し、その紫蘇を、人の手に触れることなく山から流れてきた水でバシャバシャと泥を洗い落とします。その後の、紫蘇の葉をちぎるのが実は大変な作業。2リットルのジュースをつくるのに、約1キロの紫蘇を一枚ずつ丁寧にちぎります。紫蘇の葉1キロは膨大な量で、キッチンが紫蘇の葉だけで埋め尽くされるほど。ひとりではたいへんな作業なので、そのときどきに、訪れてくる方とお話をしながら、一日中ちぎる作業をしました。その後は、大量の紫蘇を鍋に詰め込み、火にかけます。甘さなども、その素材に合う砂糖を選び、調節しながら紫蘇ジュースにしていきます。

コンビニやスーパーで買えば、100円で簡単に手に入るジュースです。手作りでつくれば大変な時間と労力がかかりますが、市販では得られない、素材から感じられる自然の活き活きとした美味しさが感じられます。イベントでは、たくさんの方に「おいしい!」と飲んでいただき、「昔、よくつくったよ。懐かしいね。」と懐かしさを感じられる方もいられました。

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滝ヶ原からほど近い粟津エリアで、ひたむきにブルーベリーを育てられている野口さんというブルーベリーの愛好家がいます。野口さんのつくるブルーベリーは畑で収穫の際、ついつい口に運んでしまうくらい甘さと酸味が、はじけそうな実に詰まっていて、フレッシュでとても美味しいのです。畑に遊びに行ったときには、いつも楽しそうにブルーベリーのお話をしてくれました。

そんな野口さんの愛情を受けて育てられたブルーベリーに合う砂糖を探し、毎日手でかき混ぜて、発酵シロップができあがりました。きれいな深い赤紫色のブルーベリーシロップと、以前のブログでも取り上げた、滝ヶ原に来てはじめての作業で仕込んだ梅シロップをブレンドして、ソーダで割った梅ブルーベリーソーダが、イベントでは一番人気。たくさんの方に飲んで頂いた結果、売り切れてしまうほどでした。

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とろりと甘くて美味しい!と、リピーターが続出した梨ミルクは、隣の加賀市で作られている加賀梨を、砂糖漬けにしてつくったシロップを使っています。毎日手でかき混ぜ、発酵させて、シナモンとカルダモンスパイスとミックスしたシロップを牛乳で割ると、梨のやさしい甘さがおいしく滋味深い、お子さまも大喜びのドリンクになりました。

大人の方むけのアルコールメニューは、梅酒と、ここで育てたミントを使ったフレッシュなモヒート。梅仕事の時期に、梅シロップと共に仕込んだ梅酒は、スッキリした口当たりが飲みやすく、ソーダ割りでお酒好きの方にたくさん飲んでいただきました。

どのドリンクにも、滝ヶ原の美味しい空気と水で活き活きと育ったミントと、アップルミントを朝摘みしたものをトッピングしました。香りがとてもよく、ジュースを彩るすてきな演出になりました。TAKIGAHARA FESTIVALでは、そうやって時間と手間を掛けて出来たジュースが並びました。

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さらに、お茶の時間に私たちが好んで飲んでいる、お隣の加賀エリアで有名な加賀棒茶を使ったミルクプリンを開発しました。加賀棒茶とは、茎の部分だけを炒ってつくられたお茶で、昭和天皇に献上されたお茶です。一般的なほうじ茶とはすこし違い、水の美味しさが伝わる繊細な味が印象的なので、飲んだ瞬間の印象に近づけるために、何度も何度も試作し、TAKIGAHARA FARMのメンバーで日夜討論を繰り広げました。

そうしてやっとの想いで出来た美味しいデザートを、さらに美味しく彩るのに、能美市の九谷焼の名門、上出長右衛門窯さんに、飲み口にすっと金色の色味が入った素敵な柔らかみのある白の湯呑を提供いただきました。美味しさだけでなく、美しさも追求し、とことんこだわったプリンを、みなさんに味わっていただくことが出来ました。

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TAKIGAHARA JUICE STANDは、たくさんの方で賑わい、素敵なコミュニケーションスペースになりました。その空間に欠かせないメンバーの一人が、フランスから移住し、小松市で生活しながら、文化民家という古民家スペースをオープンしているギヨムとローレン。彼らには、TAKIGAHARA FARMの畑の野菜や、小松の食材を使ってもらい、フランスのレシピで作った焼き菓子やジャムをジューススタンドで販売をしてもらいました。地元の方や、遠方から来ていただいた方とも、交流を楽しむ姿が見られました。

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また、イベント前からTAKIGAHARA FARMに興味を持っていただいた近隣の若いご夫婦にも、手伝っていただきました。モヒートのレシピの納得がいかずに困っているところを、ご主人が以前、ブラジルに滞在されていた時に飲んでいたレシピで、美味しく作っていただいたカイピリーニャ風モヒートは、リピーターが出るほどの人気メニューになりました。

今回のイベントでは、たくさんの方に協力いただいて、無事に、最高の幕開けで終えることが出来ました。イベントにお越しいただいたみなさまには、そういった空気感もふくめて、滝ヶ原の自然、空気、水、自然の流れを感じてもらえたのではないかと思っています。

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イベントが終わり、滝ヶ原も季節が移り変わり、肌寒くなってきました。今は秋の恵みを探しています。滝ヶ原でたくさん採れる柿や、冬の時期に向けて色づき始める柚子でジュースシロップをつくっています。

次の出店は、東京、青山ファーマーズマーケット、10/29(土)、30(日)の二日間。季節の移ろい、いまの滝ヶ原を感じられるメニューを味わっていただけることを、楽しみにしています。ぜひ皆さん、会場で楽しんでください。

text: miuru yukinaka
photo: tomohiro mazawa, yoichi naiki

2016.10.12