中海町という土地も、Tsugutsuguの由来の一つだ。幼少期によく遊んでいたこともあり、親戚 や知り合いも周りに多い。1人ではなかなか難しい農業において、人との繋がりは重要だ。
「実家が農家というわけでもなく、全くの初心者だったので、近くの農家さんに教えてもらいな がらのスタートでした。土の差や、気候の差で、出来るはずのものが出来なかったり、予定通り にいかないことも多いので、周りにサポートしてくれる人がいるのは、とても心強いです。」
馴染みのある土に根をはり、故郷や家族を”継ぐ・繋いでいく”という意味が込められた、「家族野菜Tsugutsugu」を誕生させた。

“繋がる”ことを大切にしているTsugutsugu農園は、開かれた農家を目指している。 「例えば、スーパーで農家さんの顔写真があるからって、100パーセントの信頼を与えられるわ けじゃないですか。だから、子どもと一緒にこうして芋掘りを体験できる機会を設けたり、実際 に見て、触って、感じてもらえる機会を増やしたいと思っています。」

毎週土曜日、滝ヶ原にTsugutsugu農園の野菜が並ぶと、なんだかホッとする。持ってきた野菜たちの説明をしてくれる、高嗣さんの表情はいつも柔らかい。まるで彼の人柄を詰め込んだような、優しい野菜を今週もみんなで頂くことだろう。

文:Chihiro Inaguma
写真:Yufulei